組み合わせの積の総和

数式で説明しようとするとなんか詰まったので書き残し. 次を示す.

 \displaystyle
\sum_{\ell=0}^k {}_{m}\mathrm{C}_{\ell}  \cdot {}_{n}\mathrm{C}_{\ell-k} = {}_{m+n}\mathrm{C}_{k} \tag{1}

気持ちは  m+n 個から  k 個選ぶ組み合わせの総数は, 最初の  m 個から  \ell 個選び残りの  n 個から  k-\ell 個選ぶ組み合わせを考えて,  \ell 0\leq \ell \leq k で走らせて和を取ればよい, というもの. 組み合わせの定義  {}_n\mathrm{C}_r = \dfrac{n!}{r! (n-r)!} に基づいて帰納法でやろうとしたがうまくいかなかった. 二項定理  \displaystyle  (x+y)^n = \sum_{k=0}^n {}_n\mathrm{C}_k x^k y^{n-k} を用いるとうまくいった...不思議. (二項定理の証明について気になる方は次などを参照:二項定理の意味と係数を求める例題・2通りの証明 | 高校数学の美しい物語)

次のように  m, n \in\mathbb{N} に対し,  (1+x)^m(1+x)^n を考えて二項定理を適用する:

 \begin{align}
(1+x)^m(1+x)^n &= \left(\sum_{k_1= 0}^m {}_m\mathrm{C}_{k_1} x^{k_1} \right)\left( \sum_{k_2= 0}^n {}_{n}\mathrm{C}_{k_2} x^{k_2} \right) \\
&=\sum_{k_1= 0}^m\sum_{k_2= 0}^n {}_{m}\mathrm{C}_{k_1} \cdot {}_{n}\mathrm{C}_{k_2}x^{k_1+k_2} \\
&=\sum_{k=0}^{m+n} \left(\sum_{k_1+k_2=k} {}_{m}\mathrm{C}_{k_1} \cdot {}_{n}\mathrm{C}_{k_2} \right) x^k \\
&=\sum_{k=0}^{m+n} \left(\sum_{\ell=0}^k {}_{m}\mathrm{C}_{\ell} \cdot {}_{n}\mathrm{C}_{k-\ell}\right) x^k. \tag{2}
\end{align}

一方,

 
\displaystyle (1+x)^m(1+x)^n 
\displaystyle = (1+x)^{m+n} 
\displaystyle = \sum_{k=0}^{m+n} {}_{m+n}\mathrm{C}_k x^k. \tag{3}

よって  (2), (3) における  x^k の係数比較をすれば  (1) が導かれる.  (2) への変形途中での和の順序交換がポイント.

このやり方は「全体和で一致するから各項を比較すれば示したい等式が成り立つ」という流れであり, 最初から各項の係数部分 (すなわち  (1)) を考えた時に帰納法などでうまくいえるのか分からない. もしご存じの方いたらコメントください.